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「変化の時代、アートを社会に根付かせたい」 イベントプロデューサー 末武秀明氏に聞く|EVENTORS Future〜イベント新時代への挑戦〜【第10回】

 新型コロナウイルスの影響で激変するイベント業界で奮闘する次世代リーダーたちのリレーインタビュー。第10回は、フリーランスでアート関連イベントなどのプロデュースに携わる末武秀明さん(43)に聞きました。

 デジタルとリアルで新しいアート展に挑戦

――開催中の現代アートの展覧会「#CWA展(https://www.cwa-exhibition.com/)」について教えてください。

 「SNSとリアルを組み合わせた新しい展覧会です。Twitterでハッシュタグ『#CWA展参加』を付けてもらって募集した作品から選抜した約10点を6月13日からオンラインで展示します。通勤時間や昼休み、寝る前などTwitterを開いた時に、そこにアート作品があって、ほっとしたり、ポジティブを感じたりしてもらいたいと思っています。7月には東京・代官山で、さらに厳選した3点を、招待作家である近藤康平さんと山口真人さんの作品とともに展示します。リアルならではの没入感の中で、作家が創り上げた作品から、鑑賞者が自分でも物語を構築し、現代社会の課題を考察したり、自分の弱さや強さと向き合ったりと、そんな時間を作れればと考えています」

――今回の展覧会の大きなテーマは「変化」とのことですが、どういう思いからですか。

 「#CWA展では『現代を変化の時代』と捉え、変化をキーワードに、集まった作品に隠されている願いや不満などの様々な感情も含めて、現代だからこそ生まれた様々な表現を感じてもらい、同時に展覧会もオンラインとリアルが共存する、現代だからこそできる様式の企画展を目指しています。コンセプチュアルに、人の内面や社会を描いている、本当の意味での現代アーティストであると感じている招待作家のお二人の作品含め、様々な自分だけの変化の物語を感じて楽しんでいただければ、と思っています。」

自分の場所は自分で作る。コロナ禍でフリーランスに

――末武さんは、どういうキャリアを歩んでこられたのですか。

 「高校卒業後にモデル業のアルバイトをしていたのですが、洋服が好きだったので、ファッション業界に進み、アパレルの販売員や総合職を経験しました。その頃、東京ガールズコレクションを見る機会があって、花火のような華やかな演出に感動しました。イベント業に興味を持ったきっかけです。もう一つは、仕事の拠点のあった東京・代官山で東日本大震災のチャリティーイベントを地域のライブハウスやアパレル店などと協力して開きました。その時に、プロデューサーの役回りをしたのですが、とてもやりがいを感じました。プロでやりたいと考え、マーケティングやプロモーションを学ぼうと、アパレルから広告プロモーション業界に転身しました」

――コロナ禍は大きな転機になったのではないですか。

 「コロナで仕事が一変しました。大手企業のリアルコミュニケーション施策などに取り組んでいましたが、企画を提案しても、やはりリアルのコミュニケーションは求められていない。『リアルなコミュニケーションに未来はない』なんて言われる中でしたが、それでも僕は、リアルな場で五感を通じて生み出される感動を追究したいと思いました。これからは自分が思う、自分のしたいことは、自分でしないといけないな、と思って昨年、独立を決意しました。厳しい時代であっても、自分のやりたいことを追究し、自分の場所を作りたいと考えました」

アート作品をもっと身近に

――プロデューサーはどんな仕事なんですか。

 「一言で言えば、予算管理と進行管理です。各チームを統率する立場にありますから、リーダー気質であることが必要です。プロジェクトが大きければ大きいほど、把握しておくべき情報は多くなりますから、細かさも必要です。僕の持論は、プロデューサーは、多少チームから舐められている位でちょうどいい。リーダーは、自分はステージから降りて、周りが自発的に動く環境を作ることが仕事だからです。なので、いかに、このチームは自分がいなきゃダメなチームなんだと、チームメンバーに感じてもらい、自分が動かないといけないと思ってもらえるかが重要と考えています。『舐められる位でちょうどいい』というのは誤解があるかもしれませんが、全て自分ごととしての風土を形成するには、リーダーを頂点にしたヒエラルキーはもう不要だと思っています。ですが友達ではないので、日常の行動はともにしない。少し寂しいですが、近くて遠い存在として存在しなければならない。チームには、自分が進んで行っている姿勢だけ見てもらいつつ、必要に応じてちゃんと手助けする。現場のリーダーはディレクターですから、介入しすぎてもいけません。ただ、ちゃんと見ているんだということが伝わることはとても大事だと考えています」

――今後の目標を教えてください。

 「僕は二十歳の頃からアートに接するようになって、アートが大好きだし、恩恵も受けています。イメージしたことを形にしていく抽象構築力、審美眼、考える習慣が身につきますし、英気も頂いていて、人生の質を高めてもらっています。ただ、誤解を恐れずに言えば、アートはまだ富裕層の娯楽でしかなく、一般社会とは壁があると思っています。一方、コロナ禍で時間が増えて、作品を作り始めた新しいアーティストも増えています。アーティストのコミュニティーだったり、作品を発表できたりするような場をデジタルとリアルで支援していきたい。ディベロッパーさんとコラボしたり、地方創生に参画したり、アーティストがつくる広告、オーダーメイドのファッションだったり、やりたいことはたくさんあります。こうした取り組みを通じて、変化の時代に、もっとアートを社会に根付かせていきたい。好きなことをプロモートしていくのがプロデューサーである自分の仕事だと考えています」

【プロフィール】末武秀明(すえたけ ひであき)1978年生まれ。東京都出身。モデルやアパレル業界などの経験を経て、プロモーション業界に転身。大手企業のプロモーションやPRイベントのプロデュースなどに従事した。2020年に独立し、フリーランスで、アートビジネスやイベント、広告プロモーションのプロデュースやコンサルタント、新規事業開発のビジネスプロデュースなどを担う。ミッションステートメントは「社会に根付くアートの発展にコミットする。」。連絡先はSNS(https://www.handshakee.com/hideAKI_Suetake)

【「#CWA展」概要】Twitterの作品公募で美術展を開催。#CWA展は、Twitterでテーマに沿った作品を公募して「Twitterモーメント展」を行い、”♡”の数が最も多かった作家3名、招待作家2名を招き美術展を開催する。詳細はHP(https://www.cwa-exhibition.com/)。


[会期]
●Twitterモーメント展 / 2021年6月13日(日) ~ 6月20日(日)
●リアル美術展 / 2021年7月9日(金) 〜 7月13日(火)
●会場 / SPACE K 代官山(東京都渋谷区猿楽町25-1 Edy代官山201)

[招待作家]
●近藤 康平 / Kohei Kondo
●山口 / 真人 / Masato Yamaguchii

[演出協力]
●華道家 谷田貝 一也 / Kazuya Yatagai


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