時代に左右されない”イベントの魅力”について
初めまして。フリーランスプロデューサーの末武(すえたけ)と申します。
私はイベントの「一体感」「感動」「変化」といった『イベントが生み出すパワー』に惹かれ、趣味でイベントを始めてプロとなり計10年以上イベントに携わっています。
現在、コロナウイルス感染症でイベントに制限がかかる期間が続いていますが、イベントはすでに「あって当たり前のもの」として社会に定着しており、「イベントの魅力」はどんな時代でも左右されるものではなく、普遍的な価値があると思っています。
本記事ではその「魅力」について、経験から感じていることを書こうと思っています。
■イベントのジャンル
そもそも一般的には一言に「イベント」と総称で括っていますが、イベントには大きく区別すると3つのジャンルが存在しています。
それは、観賞などの「エンターテイメント」イベント。“興行”と言われるものです。そして記者発表会やインフルエンサーなどがブランドの商品を世に発信する「PR」イベント。商品の販売や会員入会獲得を目的とした『SP(セールスプロモーション)』イベントがあります。
私は3つ全てに携わりましたが、どのイベントも「感動」を創る、という点では一致しています。そして、その『感動』を創ることこそがイベントの醍醐味だと言えます。
一般的に「感動」=「人の感情を動かす」ということはエンターテイメントで良く聞く言葉ですが、それは必ずしも演出や芸術的なもので起きるものではありません。
人は美しいと感じた時、高揚感を共有し一体感を感じた時、共感するコミュニケーションに触れた時、複雑だったことを理解した時、自身の不安を改善してくれる物や出来事に出会った時、人やブランドの信念や感情に触れた時に心の琴線に触れて感情が動きます。
主に前者はエンターテイメントで良く聞く話だと思いますが、後者はPRやSPイベントで創る感動の一つです。そして、その感動をイメージして計画し、創り上げた時がイベント関係者にとっては一番嬉しい瞬間でもあります。
「感動」という現象を社会に対して創り上げ、それを共有できる主催の仲間達、あるいはその結果を見ているクライアント、その現象を届けた生活者、それぞれに感動と笑顔が生まれている。これがイベントに携わる人間の幸せで、魅力だと私は思っています。
そしてこの感動はリアルでのコミュニケーションで生まれやすく、新型コロナウイルス感染症が蔓延してしまった社会が現在失っている「社会の魅力」だと思います。
何故ならイベントは「広告やメディア、SNSでは伝わらないリアルな感動」を生み出すものとして存在していました。それが感染症の蔓延でオンライン社会となり、そのイベントの魅力を「輝かせられない」世の中になってしまいました。
■変化する固定観念
社会の変化に伴い、イベントも講演など「オンラインにシフトできるもの」はオンラインに移行しました。エンターテイメント、展示会などもオンラインにシフトしますが、オンとオフラインの違いは「5感」を使って楽しめるものか、そうではないか。この違いで適応するイベントが分かれたように感じています。
例えば「美術展」「エンタメショー」「ブランドの体験イベント」は顕著に差が出始め、臨場感や5感を使って楽しむ、またはその臨場感の中でのコミュニケーションを楽しむ、といったものは、オンラインでの事例はあるものの、オフラインのように感動が生まれているか、というと、まだそうではないと考えます。
一方で「講演」などは会場に行かずに済むので時間を作りやすく、より気軽に参加できるようになったと感じています。これは「5感で楽しむ」というものではなく「内容に共感し自身の学びとなることに対して感動が生まれているもの」だから、と考察します。
2020年およそ年初から始まった感染症から加速した社会のオンラインへの変化は、コロナ収束後も更に加速していくと予想できますが、それはオフラインのイベントが消える、ということではなく、要素として今後はオン・オフラインを組み合わせた『ハイブリッド』がイベントの基本的な観念となるでしょう。
オンラインの気軽さ、手軽さ、といった「オンラインならでは」のできる仕組みを組み込み、オフラインのリアルコミュニケーションと合わせてより良い仕組みを創る、という考え方が定着すると思います。
そして、コロナ禍で起きた変化でもあると言われている「人々が必要不可欠なこと以外は日常の選択肢から外す」という考え方が定着した場合、「外出に価値」を強く求めるようになり、感染症が収束した社会でのイベントは「外出するだけの価値」が求められ、今まで以上に内容や付加価値が問われることになると思います。私はその「価値」こそがイベントの魅力である「感動できるもの」なのか、そうではないのか、ということではないか、と考えています。
■時代に左右されないイベントの魅力
オンラインの加速により今後はもっと「イベントの組み方」が増え『感動を創る仕組み』が増えると思います。そのためにイベントパーソンに求められることは、テクノロジーに敏感で仕組みを変化させていけるよう、社会とテクノロジーと融和しイベントを考えることが求められるでしょう。
感染症以前のイベントの「リアルでの感動」という固定観念が「ハイブリッドでの感動」という新しい固定観念となり、マーケティングの「OMO」(オン・オフラインの垣根を超えた融合した社会)という考え方が基本的な観念になると思います。
このパンデミックの期間はイベントパーソンもオン・オフラインの違いとお互いの魅力を理解する時間、今後も起こりうる感染症の対策方法を学ぶ機会でした。
この歴史的な時間を過ごせたからこそ、イベント関係者として新しい変化に対応し、新しい様式を作ることが「現代のイベントパーソンの使命」ではないかと考えます。 変化する社会でも「感動を創る」という本質は変わらず、イベントの魅力は感動を創り上げることだと思います。そして社会に対して感動を創り上げた時に体感する充実感こそがイベントビジネスの魅力であることも『時代に左右されないイベントの本質的な魅力』だと私は思っています。
記事
末武 秀明 (すえたけ ひであき) / Producer
〈プロフィール〉
1978年生まれ。アートビジネス、イベント、広告プロモーションのフリープロデューサー。過去、渋谷区代官山の地域イベントなどを手がけたことが転機となり広告・イベント業界に転身。以降、大企業の様々なプロモーション案件に携わりフリーランスに。『社会に根付くアートの発展にコミットする。』というミッションステートメントで活動を行っている。
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