Backstage HEROes vol.2 〜中尾幸生 さん(株式会社ハピオ代表取締役・イベントプロデューサー)〜
イベント業界で働く現役イベンターに、業界で働くやりがいや葛藤、そしてイベント業界ならではの課題や喜びをリアルに語っていただく「Backstage HEROes」。
今回はVol.1でインタビューしました石塚えみさんのご紹介で、イベント制作会社代表取締役である中尾幸生さんにお話を伺うことができました。えみさんとはなんと25年の付き合いだそうです!
“役者/芸人からイベント業界へ転身!波乱の20代”
中尾さんは大学でお芝居の勉強をしていました。就職する際、吉本興業のオーディションに受かり芸人の仲間入り。その後も役者/芸人として東京で活動していましたが、生活のために転職を決意。
役者/芸人の仕事はステージイベントの仕事に近かったこともあり、次に就職した会社はイベントディレクターやコンパニオンを手配する人材系の会社でした。
しかし仕事をするうちにイベント制作へ携わりたいと思うようになるのです。
「イベントの仕事はお芝居と作りがすごく似ているんだよね。企画したり、台本作ったり、キャスティングしたり。それを総括している制作に興味が出たんです。」と中尾さんは言います。
そして間も無く、人材派遣会社の中に制作部署を立ち上げました。
元々お芝居の勉強をしていた中尾さんはステージ演出を中心に、イベントプロデューサーとして多くの経験を積んでいきました。
そして31歳の時にイベント制作会社である「マックイン」を設立。(マックインはその後解散しますが改めて株式会社ハピオを設立します。)
わずか10年の間に役者・芸人・人材派遣会社員・イベントプロデューサー・会社設立という経験をしています。
現在も敏腕イベントプロデューサー兼代表取締役としてイベント制作に携わっています。
実は、えみさんがイベント業界に入るきっかけとなった案件「浅草カーニバル」で中尾さんと出会っていたのです。
“芝居経験から作るイベント演出”
中尾さんの案件は地域イベントから企業イベントと幅広く、商店街イベントやゲームショー、モーターショーなど多岐に渡ります。
中でも中尾さんの印象に残っている案件は「スパ リゾート ハワイアンズ」で行った海賊ショーの現場です。当時、年の2/3は地方出張という忙しい日々の中、数週間海賊ショーの演出プロデュースを務めました。
元々役者としてお芝居に長けていた中尾さんだからこそできるミュージカル風の演出で、子供達が楽しそうに見入っている姿が忘れられないそうです。
企画から制作、現場までこなせる中尾さんですが、
「現場で感動している子供達やお客さんを見るのが一番好きだね」
「もちろん企業寄りの硬めなイベントもやるし運営もやるけど、やっぱり演出で感動させるのが楽しい。」
と中尾さんは言います。
芝居や芸人としてステージに立っていた演者目線だからこそできる演出があるのです。
“コロナ禍を経験した今後のイベント業界”
このコロナ騒動でイベント業界は多大なる影響を受けました。もちろん中尾さんの案件も2020年9月現在でも不安定な状況が続いています。
そのような状況でも中尾さんは「イベントがなくなることはない」と言いきります。
リアルイベントは最大の『広告』であり、企業にとっても、参加者にとっても不可欠なツール。
「イベントは人と人が五感を使って触れ合うことができる、唯一無二の広告だ」と中尾さんは言います。
現在、中尾さんがイベント開催のために取り組んでいることの一つは、クライアントが安心してイベント開催をできるよう『コロナ禍イベントのルール化』です。
具体的には医療コンサルタントと手を組み、イベント開催のガイドを作るという内容です。
もちろんガイドの内容は医療のスペシャリストが定めた項目です。
そしてこのガイドやカリキュラムをベースに『条件をクリアしたイベント会社を認定する』というフローへ続きます。
こうした明確なルール化により、クライアントは認定された会社と安心してイベント開催をすることができるのです。
また、イベント会社もガイドに従うことで仕事を続けることができる仕組みとなっています。
コロナ騒動では様々なルールや数値化が進められていましたが、イベント業界に特化したルールはまだありません。政府が出すイベント開催の規模は目安であり、具体的なルールや指定事項はないため、「イベントを開催したいクライアントもイベント会社も周囲を見渡しながらビクビクしているのが事実。だったらもっとイベントをルール化して開催した方が良いんじゃないかと思うんです。」と中尾さんは言います。
このコロナ禍を打破するため、中尾さんはイベント開催のガイド作りに力を入れています。
“これからのイベントのあり方”
コロナの影響でリアルイベントは減っていった分、メディアの需要が高まってきました。
「リアルイベントがなくなることはないけれど、メディアと融合したイベントのあり方も考えていくべき」と中尾さんは言います。
中尾さんが今後考えるメディアを使ったイベントは、五感を使ったイベントだそうです。
様々なデバイスを通し2Dを3Dへ、そして一方通行だった従来のイベントを参加型へとスタイルを変えていく。
このようなイベント制作を作っていきたいと中尾さんは言いました。
“イベント業界はコミュニケーションが全て”
中尾さんは自他共に認める『放って置けない人』。
しかし、周りがそう思うには理由があります。
それは中尾さんのコミュニケーション能力です。
決して壁を作らず、クライアントとはビジネス関係を飛び越え、すぐに友人のようになってしまうのだとか。
その垣根のない人懐っこさで、いつの間にか自分ができないことをフォローしてくれる多くの人に恵まれてきたそうです。
「こればっかりは俺を見て真似しろ!ってわけにいかないんだけど・・・」と困る中尾さんに「言葉にできない魅力があるよね。だから手伝っちゃう。」とえみさんも言います。
「イベントはコミュニケーション。コミュニケーションが上手いということは、より優れた技術を持つ人へお願いができるということ!」とコミュニケーションの大切さを伝えてくれます。
イベントは様々なスペシャリストが組み合わさり成り立っています。
全てをまとめ上げる制作という立場は、コミュニケーション能力が不可欠。
「映像会社が映像のスペシャリストなら、制作会社はコミュニケーションのスペシャリストだ」と中尾さんは言います。
若者へのアドバイスは、『スキルアップに励むのも大切だけど、とにかくコミュニケーション能力を磨け!』です。
<基本プロフィール>
名前 :中尾 幸生 さん
会社名:株式会社ハピオ(東京都品川区)
年齢 :53歳 (2020/09/09現在)
職業 :代表取締役・イベントプロデューサー
まとめ
今回はイベントプロデューサー兼代表取締役の中尾幸生さんにお話を聞きました。
ちなみに「ハピオ」と言う会社名は、幸生さんのお名前、(幸せ=ハピネス)+(生=オ)でハピオと命名したそうです。※英語名はHAPPIO
これに対し、えみさんは「ダサ〜い」と笑っていましたが中尾さんは「いい話でしょう?」とニコニコ。
ここにも中尾さんの魅力を感じました。
密な空間は避けますが、コミュニケーションは密に!そんな中尾さんのイベントに対するスタイルを知ることができました。
コロナ禍で厳しい一面もあるイベント業界ですが、社会へ様々な情報を発信できる仕事でもあります。
イベント業界から社会をハッピーにしていきたいですね。
interviewer “KONO”
“Backstage HEROes”ではその名の通り、日頃裏方に徹するイベント創りのプロフェッショナルや業界のこれからを担う若手にフォーカスし、表舞台に立つ演者ではない制作者にスポットを当て紹介してまいります。記事を通じてイベンターの存在価値や社会的地位の向上につながればと願っています。
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