“コロナ禍で奮闘するイベント業界のこれから” MERUが教える! イベント業界あれこれ サンロクゴ(365)Vol.12
こんにちは!現役イベンターのMERUです。
私たちイベンター、この憎きウィルスのおかげですっかりお仕事が減ってしまいました。
東京では、私の会社も3月末ごろからキャンセルや延期が相次ぎ、4月末ごろには予定していたイベントがほぼ100%消えて行きました。
この騒動で、ほとんどの職種・業界は多かれ少なかれ痛手を負ったと思います。中でもエンタメ業界は壊滅的でした。
そんな状況でもエンタメ業界が踏ん張った理由は、紛れもなく、イベントを楽しみにしている人たちがいるからです。
「また来年もこのイベントに参加したい」「この表彰式ステージに来るのがやりがいなんだ!」「どうしてもこの新製品をPRし世の中に広げたい!」と思ってくれている人を知っているからです。
このようなクライアントや観客の皆さまのために、コロナ騒動を乗り越えた後はすぐにでもイベントを再開できるよう、私たちイベンターはこの状況を耐えています。
今回は、このような渦中で奮闘している、私たちイベント会社がこの危機をどう乗り越えていのるか、私の会社を事例にご紹介していこうと思います。
1.時代はライブ配信
以前からYouTube LIVEやインスタLIVE、Vimeoなど多くの動画プラットフォームが若者を中心に活用されていますね。私も通勤時間はYouTubeでチャンネル登録している動画をみることが日課でした。
しかし、こういった大衆向けの動画プラットフォームはまだまだエンタメ的要素や個人的視聴のイメージが強く、一企業がビジネスとして取り入れることは少なかったと思います。多くの人がYouTube LIVEを使用する場合、登録しているユーチューバーのライブ配信を「時間があった時に見る」程度だと思います。
ところが、このコロナ騒動で一気に企業の注目がライブ配信に集まりました。
特にYouTube LIVEに関しては、はビジネスで利用したことはないが個人的な視聴経験がある人が多く、事例も豊富なため、企画側もクライアント側もイメージがつきやすいプラットフォームです。
そこで!
いくつかのイベント会社は従来の考えを必死の思いで薙ぎ払い、新たなイベントの在り方、「ライブ配信型イベント」を作り上げました。
もちろん、プロが作るライブ配信ですからTV並みです。それを、いわゆる生放送で行います。
積極的で時代の流れに敏感なイベント制作会社は、この渦中にライブ配信への知見を深め、どんどんお客様へ提案していくことに成功しました。
2.ライブ配信とリアルイベントの違い
イベントに携わっている人からすれば、ライブ配信は一見簡単そうに感じます。観客がいない分ステージもなく、演出照明のオペレーションも必要ありません。映像オペレーションに特化しているので、いつもお世話になっている映像会社に協力いただければできるでしょ!?と当初は安易に考えていました。
ところが・・・
深掘りしていくと意外と奥深い、配信事業。そもそもうちの会社はB to CではなくB to Bが主流。そのため下記のような質問が想定されました。
“Youtube LIVEってセキュリティ大丈夫なの?”
- URLをコピペされて外部に流出されたら事件だよ?
- ZoomやTeamsと繋げられる?
- 海外とつないで逐次通訳もできる?
などなど課題がたくさん。さらに、テクニカルな部分だけでなく、制作物も全く違います。
まず台本のフォーマット。
我々イベンターは、3Dの在り方に慣れすぎています!音響・映像・照明・施工・特殊効果、これらが空間で合わさって一つのイベントとなります。
ところが、ライブ配信は画面の中だけでプレゼン、スライド、動画、ジングル、これらを成立させないといけません。
よって台本は映像のスイッチャーさんが何より理解しやすいよう、一から改変。
今まではどのテクニカルセクションも見やすいように作っていましたが、それだと非常に分かりづらくなってしまい成立しません。これもいくつか現場を重ねるうちに、「これはこうした方が見やすい」「この項目は現場で必要ない」など経験を積み重ねLIVE配信用の台本が完成しました。
他にも、スライドデザインについても注意事項があります。
LIVE配信はPCだけでなくスマートフォンなどの小さな画面で見る人を考慮し、多少カッコ悪くても文字は大き目に配置。こういったデザイン関係もリアルイベントとは配慮するポイントが違います。
施工に関しては、撮影スタジオを使用することが多く、バーチャル背景を組み合わせるオーダーが急増しました。
よって、バーチャル合成背景を作るのも今までにない新しい仕事です。
ただ、バーチャル背景は”注意事項や事件”もたくさんあります。
ある現場では、新製品のプレゼンを行う際、デモンストレーションでコップを使用したのですが、バーチャル背景だったため、グリーンバックと同化して容器が消える!?という事件勃発。
付随して、登壇者がリハーサルと違う服装で来たため、服装の一部が背景と同化する、などと今まで経験したことのないアクシデントに遭遇しました。
下見やリハーサル、検証に慣れているイベンターですが、やはり実査に体験してみると多くの発見や改善点が見つかります。
ライブ配信ならではの難しさを痛感する日々です。
3.クライアントの反応
ライブ配信事業をスタートし、幸いにもいくつかのライブ配信を経験することができました。クライアントの反応としては、“ライブ配信って面白いね!こんな状況下でも開催することができて本当によかった!” といった反応をいただけました。
特に、直近に予定していた新商品PRなどはコロナを理由に発売中止なんてできません。そういった意味で、多くの視聴者へ届けることができたのは幸いだったと聞きました。
一方で、ライブ配信はユーチューバーなどの影響で「手軽にできるもの」と思い込んでいる人もいます。
そのためお見積もりを見せると大抵は驚愕されます。
しかし、画面の切り替えや他プラットフォーム(zoomなど)とつなげる場合は別の映像ラインが必要ですので、機材もリアルイベント並みに盛りだくさん。
ライブ配信はリアルイベントほど費用がかかりませんが、実は結構、お金がかかるのです。どこまでこだわるのか、演出を組み込むのか、これらによって費用は様々。
「何もしないよりはやった方が良い」と考えるクライアントの皆さまには大変好評でした。
リアルイベント開催が難しい状況下ですので、今後もLIVE配信事業は注目され続けると思います。
4.今後のイベントの在り方
まだまだおさまる気配のないコロナウィルス。
そんな中、イベントが普通に開催される日は来るのでしょうか。
我々イベンターは毎日不安です。
しかし、こうやってライブ配信が主流になっていく中、個人的に思うことは、今後リアルイベントとライブ配信は共存していくということです。
おそらく、ライブ配信の需要はコロナがおさまってもあると思います。
また、「リアルイベントをライブ配信する」という需要も今まで以上に出てくるのではないかと考えられます。
ただし、リアルにはリアルの良さやメリットがあります。リアルだからこそ伝わる事、会場の空気感・高揚感、はライブ配信では表現しきれません。
よってこれからのイベント事業はリアルイベントとライブ配信、このふたつが主流になっていくでしょう。
まとめ
このような渦中ですが、私たちはまたいつかお客様と再開し、楽しいエンタメを届けるため、日々奮闘しています。
早くこの状況を脱し、イベントがありふれる日常を心待ちにしています。皆さんも一緒に乗り越えていきましょう!
|ペンネーム:MERU(メル) |年齢:27歳女性 |業種:イベントD(進行・運営)、企画書・台本・マニュアル制作、入稿データ制作、デザイン関係制作、英語対応可 |業界歴:3年 |活動エリア:東京 |家族:旦那と共働き |所属組織:10名未満のベテラン揃い |スキル:制作に必要な知識に加え、デザイン関係(AI,PSD操作)、英語対応といった周りにない+αスキルでしがみついている |チャレンジしたいこと:時間効率化で副収入を得ること。仕事で海外に行くこと。 |前職:ボランティアで2年間海外の学校で教師をしていた |悩み:子供が欲しいが仕事も楽しいので辞めるタイミングが分からない。よってフリーになっても仕事がもらえる関係値を作りたい
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