ナツが出会った!?イベント業界 スタッフトラブル サンロクゴ(365)VOL.1
こんにちは! ナツです。
私は、2015年頃から約3年間、社員が5名以下の大阪のイベント制作会社で正社員として勤務していました。現在はイベント業界のフリーランスとして、定期的にお仕事をする日々を送っています。
会社員として勤務しているときは、イベントの制作や備品手配の傍ら、スタッフのキャスティングやアルバイト登録スタッフの面接・登録・研修業務を担当していました。定期的にタウンワークやフロムAなどの有料求人媒体での募集や、友達紹介キャンペーンを行い、常に自社スタッフを100名前後抱えていましたが、定期的に稼働するスタッフは決して多くなく、登録だけの幽霊スタッフに悩まされる日々・・・。同じような悩みを持つキャスティング担当の方は、多いのではないでしょうか。
イベントスタッフが足りない→求人媒体で募集する→本当に稼働してほしい日に稼働できる自社スタッフがいない、という状況になった場合、案件の規模にもよりますが、当時勤めていた会社では3週間~1週間前を目安に外注をしていました。手配人数は、インテックス大阪や幕張メッセ等のイベント会場だと50名~100名ほどになりますが、普段は毎週末に実施される商業施設や量販店・事務所作業の1案件各日5名以内の案件を複数担当していました。手配を担当する中でのとんでもトラブルはいくつかあるのですが、今回はそのなかで出会ったトンデモ・スタッフの1人を紹介したいと思います。
Vo.1 なんでもつぶやいちゃう?ツイッタラースタッフ。
毎週末に継続して実施されるキャンペーンの運営を受注。この案件では、スタッフを全員外注することが決定。通常は継続案件が多いため、協力会社へメールや電話での依頼を行うことがほとんどですが、初めてのキャンペーンかつ、事前に研修も必要な案件だった為、数か月前から協力会社にも足を運び業務の説明、スタッフの希望を伝え選定・手配を依頼しました。なんとか希望していた通りにスタッフも集まり、クライアント立ち合いによる事前研修も無事に終了。翌日の朝を迎えました。
いつも通りに9:30~出社する準備をしていると、上司から着信アリ・・・。
「昨日研修を受けたスタッフが、どうもTwitterで悪口をつぶやいているみたいだ。急いで事実確認をしてほしい。」というものでした。
昨日は特にトラブルなく進んだのに…昨日の今日で? 悪口? 何をつぶやくのか…と驚きながらも、おそるおそる聞いたスタッフ名で検索をかけます。「今日は梅田で●●●の研修だった。すごくうざかった。もう2度と買うか」●●●の部分は直接企業名ではないものの、明らかにどこの企業か特定できるネット用語です。研修場所も梅田と特定されており、昨日受けたスタッフで間違いなさそうです。さらにそれを決定づけたのは、呟いたスタッフのアカウント名がまさかの本名だったこと…。
すぐに今回手配を依頼していた協力会社へ共有を行い、該当スタッフのつぶやきを至急削除するように、そしてなぜ書き込みを行ったのかというヒアリングを実施するように要請し、クライアントにも随時進捗を報告。そして、どうして今回のようなことになったのかを手配開始段階からの経緯を報告書にまとめ、クライアントへ謝罪とともに提出しました。
・・・とはいえ、時すでに遅し。
最終的に賠償金の支払いや裁判沙汰になることは防げましたが、実際にキャンペーン運営業務が稼働する前に、この案件からの撤退は余儀なくされ、さらに発注元の企業との付き合いは完全になくなりました。キャンペーンの運営実施に向けて行った複数回の事前打ち合わせ・下見や一緒に研修を受けていたスタッフの給料など、稼働した分を含めると完全なマイナスでした。
Wikipediaには「バイトテロ」とは主に飲食店や小売店の従業員(正社員・契約社員およびアルバイト・パートなどの非正規雇用含む)が、勤務先の商品(特に食品)や什器その他の備品を使用して悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上する現象を指す日本の造語。と記載があります。
今回のつぶやきは、食品を使用した悪ふざけでも、炎上したわけでも、動画でもありませんでしたがイベント業界におけるバイトテロの1つではないかと思います。今回は、イベント主催者に対する誹謗中傷でしたが、そのほかにも、商業施設のバックヤードや進行時のゲストの態度についてのつぶやき、着ぐるみやキャラクター関係のつぶやきももちろんご法度です。今回の件は少し極端な話だったかもしれませんが、いかがでしょうか。
ただ、何があってもおかしくないのがイベントだと今までの経験から感じています。私の知る業界各社はいずれも、登録スタッフ対象のSNSで常に情報喚起を行っていたり、勤務依頼のメール内で注意事項として「本案件に関するWebへの書き込み一切NGです。書き込み等により損害賠償などトラブルが起きた場合はすべて本人に受けて頂きます」 と明記したりするなどの対策をとっています。某人材派遣会社では、勤務に入る前に毎回Web上で勤務規約同意のチェックを入れるシステムの導入までしているそうです。
今後、より加速していく少子高齢化や東京オリンピック・大阪万博に付随したイベントが数多く実施される中で、イベントに関わるスタッフは人手不足や質の低下が懸念されています。「質の良いスタッフ」というと言い方はよくないかもしれませんが、イベントを楽しみながら気持ちよく働いてくれるスタッフを継続して確保するために、現場の私たちができることは、イベントに来場・参加してくださるお客様・ゲストやパフォーマーに丁寧に接することはもちろんですが、それ以外の方にも平等に丁寧に接することが大切です。
例えば、レンタル業者や施工業者、イベント会場の施設警備や掃除の方まで、イベントに関わる全ての人に丁寧に接していくことが、気持ちのよいイベント実施につながり、最終的には業務に携わったスタッフ全員の、またこの仕事がしたいという勤務意欲につながると思います。
現場スタッフひとりひとりの動きがイベントの成功に大きく関わる仕事ということもあって、ベテランになればなるほど、スタッフを使える/使えない といった道具としてしか見られなくなって、現場によっては「早よいけ」・「あれ持ってこい」と制作側の人間やディレクター・ADがスタッフに命令口調で指示したり、ぞんざいに扱っている場面を見ることもあります。でも、そんな風に扱われたスタッフはまた同じイベントの仕事があったときにぜひ勤務を希望したいと思うでしょうか?
この仕事が好き・これからもイベント業界で頑張って働こう!と少しでも感じてもらうことが、現場の私たちの課題です。人ありきのイベント業界。私自身の反省も含めて、今一度向き合う必要があるのかもしれません。
<プロフィール>
|ペンネーム:ナツ|年齢:29歳女性 |業種:イベントD・AD(運営)ST(進行)・キャスティング・手配業務委託・事務局・企画書・マニュアル制作 |業界歴:5年 |活動エリア:近畿を中心に全国どこでも|家族:旦那と2人暮らし|所属組織:個人事業主 |スキル:現場の状況や空気を察知して、イベントに応じた臨機応変な対応を行うこと。ブースへの誘員やサンプリングが得意。|チャレンジしたいこと:介護や農業と絡めたイベント実施。イベント業界を好きな人を増やしたい|前職:イベント制作会社でアルバイト~正社員。その前は百貨店の販売業務など。|悩み:仕事以外だと朝起きられない。すぐにぎっくり腰になること。
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