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“イベントディレクター 運営・進行 現場のリアル!” MERUが教える!  イベント業界サンロクゴ(365)VOL.4

こんにちは!現役イベンターのMERUです。先日福岡開催のイベントに出張で行ってきました。ぞろぞろと現場にやってきたイベントディレクターたち、手にはiPadのみで、紙ベースの台本なんて持っていませんでした。

なんと、この会社ではペーパーレスを推奨かつ実行していて、現場での変更事項はiPad内の台本データと専用のペンで赤いれ、そしてAirdropでその他ディレクターたちと共有していたのです。人もツールも、日々進化していると実感する現場でした。まだまだおじさん達と紙台本を握りしめているイベンター、視野を広げた方が良いぞ!と考えさせられましたね。

さて、今回はこのイベントディレクターの種類についてお話ししようと思います。ざっくり分けて2種類、『進行ディレクター』と『運営ディレクター』です。

イベント業界で避けては通れないこの2つの違いをご紹介いたします!

他にも、ベテランディレクターたちを観察し、私なりに感じた性格や嗜好の違いも書いていますのでぜひみなさんの周りの人たちとも比べてみてください!

1.進行ディレクターとは?

進行ディレクターとは、いわゆる台本通りにステージ周りをサポートするディレクターのことです。大抵はクリカム(クリアカムの略。インカムとも)という通信手段を使い、舞台袖と会場後方のオペレーション卓との連携を取りつつ会をスムーズに回していくのが進行ディレクターの役割です。オペレーション卓、略して『オペ卓』とは、各技術セクションのチーフレベルが座っており、ステージを俯瞰の立場から見て指示を出す場所です。制作側は大抵プロデューサーがこの位置に座っています。進行ディレクターはプロデューサーからの指示、台本の流れ、出演者の管理、そしてイレギュラーな事件があった時の対応がメインです。

例えば、「社長ご挨拶」といった演目があった場合、社長がきちんと舞台袖にいる場合は『社長の袖スタンバイOKです』といった状況報告をクリカムでします。こうすることで袖の中が見えていないオペ卓の人や調光室の照明など、クリカムを被っている全員が状況把握できます。逆に、社長が袖のどこにもいない場合は、『社長がまだいらしておりません』とアナウンスをすることで、社長の付添い係が探しに行ったり、社長を見つけた人が教えてくれたりするのでとても大切な役割です。しかし正直、台本通りの進行は慣れればそれほど難しいことではありません。

では格上の進行ディレクターとは、どんな人か。

それはピンチの時の素早い対応力と機転がある人です。これは私が経験した事件です。ある表彰イベントで、入賞した組が次々と登場し社長からメダルをもらうという演目でした。

表彰順もあらかじめ決まっているので、スクリーンに表示される名前、メダルの順番、MC読み上げ原稿の順序、全てがそれに倣っています。ところがクリカムで突然『25番○○さんがいらっしゃっていません!』と情報が飛んできました!現在表彰しているのは23番、もう直前です!

この情報ですぐにプロデューサーが『25番は最後に表彰する』という判断を下します。すると映像チームは25番のスライドを末尾に、MCについているディレクターはすぐにMCへ伝えます。

では、メダルは・・・?

このイベントではメダル複数個を黒盆に並べ、黒盆係の女の子がステージ上の社長の横に立っています。もちろん女の子はステージ上なのでクリカムの情報など知りません。するとベテランディレクターはすぐにインカムを外し、ステージ上へ。そして25番のメダルのみ持ち帰ってきました。

こうすることでメダルの順番は変わらず、社長や黒盆係が間違えることもありません。このような状況では、知っている人がいち早く動くことが大切です。

進行ディレクターは、何かあった時、いつでもステージに上がる覚悟が必要です。まだまだ新人の間はこの絶妙な判断ができず動けないことが多いですが、これも経験です!

無事本番終了した時の達成感は格別です。

2.運営ディレクターとは?

運営ディレクターとは、運営マニュアルに倣い、受付のセッティングと運営、座席への案内、人が通る導線確保、トイレや喫煙所などのサイン掲示、裏周りでは演者の控え室セッティング、駐車場案内、スタッフたちのお弁当管理などと多岐にわたります。スポーツイベントではユニフォームの管理、チアリーディングがある場合は女の子の選抜なども行います。

進行ディレクターと比べ地味な作業が多いですが、これら全てを時間内に効率よく行い、本番では常に来場者の対応をしながら怪我や迷子等のイレギュラー処理。何が何だかわからなくなりますよね。もちろんこれらを一人で行うわけはなく、運営ディレクターがその他スタッフを係分けして対応します。また、連携するための音響手段は、進行がよく使用するクリカムとは違い、運営側はトランシーバーを使います。クリカムは複数の人が同時に喋れますが、基本会場内しか電波が届きません。反対にトランシーバーは一度に一人しか喋れませんが、(誰かが喋っている時に割り込んでも相手には聞こえない仕組み)電波が届く範囲は半径数キロに及びます。急遽ドリンクを冷やすための氷が無くなってしまい、買い足すために会場の外に出ても会場内のやり取りが聞こえます。

このように運営は守備範囲がとても広いので、通信手段もトランシーバーを使うのです。一見、様々な技術スタッフと協力する進行の方がクリエイティブだと思われがちですが、実は運営の方が格段にクリエイティブ要素が多いと思います。

例えば資料1つでも違いがあります。

進行台本は業界用語をふんだんに使いながら、クライアントの意見を盛り込み、最後は技術スタッフが分かりやすいように作ります。クライアントとしては会の流れとMCの文言が分かれば良いのです。しかし運営マニュアルは、業界人だけでなくどんな人が見ても一目でわかるような資料作りが求められます。わかりやすく言うと、イベントに関わったことがない人でも理解できるような言葉選び、図解、表などで表現します。運営に特化した制作会社が作るマニュアルは本当に美しく、ページ1つ1つが分かりやすくできています。

そして本番でのクリエイティブ要素といえば、その場の瞬間的な判断です。

例えば、予想以上の来場者で会場内が溢れかえってしまった場合、トイレや受付を塞がないようなルートをすぐに考え、倉庫に近いスタッフと連携をとり、パテーションを持って来させる。パテーションとスタッフを使って溢れた人の流れを作っていくよう指示。他にも、入念にチェックしたはずの受付システムが突如反応しなくなった場合、すぐに予備の紙の名簿で対応するよう受付担当ディレクターへ指示。常に最悪のパターンと通常のパターンを予想した指示やスタッフ配置をすることが大切です。

上記のパターンでは、『もし受付システムが使えなくなったら』、という最悪のパターンを予測して、予備の紙名簿を用意しなければなりません。

このように、運営はその場の状況次第で常に最善の選択をしなければなりません。それが1つだけならば良いのですが、運営が管理する広さを考えると同時多発的に多くのことを処理する能力が必要です。

運営とは、実はイベントの中でも最もクリエイティブ要素が強く、頭を使わなければならないセクションなのです。

3.ベテランを観察してわかる、進行タイプ・運営タイプ

どちらも滞りなくこなせるタイプは非常に重宝されますが、私の経験上でもそう
いったタイプは非常に少ないです。ここでは私が周りのベテランたちを勝手に観
察し感じた、進行タイプ・運営タイプの人の特徴や嗜好と合わせて紹介します。
進行タイプの人は、デザインや映像関係の制作が好きな人が多いです。付随して機材関係に強く、テクニカルへの理解があります。そしてTVが好きな人が多いのも特徴です。

MCの綺麗な文言やユーモア、良い角度のカメラ割りなどを理解し、イメージできる人だと台本制作もスムーズに進みます。性格的には喋るのが好きでユーモアがあり、1つのことに没頭したいタイプです。

一方で、実は気性が荒く怒りっぽい部分を持ち合わせているのも特徴です。笑 あまり気が利くタイプは少ないかもしれません。自己主張も強めです。つまりアーティストタイプかも。

運営タイプの人は、デザインや機材にはそれほどの関心がありませんが、仕事が細かい人が多いです。フォトショップは全くできないが、パワポで文字を揃えたり、単純な図形を使って細かく端的な図解を表現できるようなタイプです。そしてTVよりもスポーツやゲームが好きな人が多いです。おそらく運営の様々な処理も、ゲーム感覚で行なっているかもしれません。性格的には割と穏やかで冷静、様々な問題に対しても論理的に淡々と思考し続けるタイプです。バリバリ運営タイプの人が怒鳴り散らすところをまだ見たことがありません。視野が広く気が利くのも運営タイプの特徴です。

もちろん個人差はありますが、社内・社外でも進行タイプの人と運営タイプの人を注視していると違いや傾向が分かってきますので、ぜひ観察してみてください!

まとめ

今回は進行ディレクターと運営ディレクターの仕事の違い、タイプの違いについて述べてきました。どっちの方が凄いといった違いはありません。イベントは進行・運営以外にも多くの人の協力で成り立っています。チャンスがあれば色々な立場でイベントを感じられると視野も広がるのではないでしょうか。

私もまだまだ未熟者!色々な方と出会い、色々な角度からイベントを見て関わっていけたらと思っています!

<プロフィール>

|ペンネーム:MERU(メル) |年齢:27歳女性 |業種:イベントD(進行・運営)、企画書・台本・マニュアル制作、入稿データ制作、デザイン関係制作、英語対応可 |業界歴:3 |活動エリア:東京 |家族:旦那と共働き |所属組織:10名未満のベテラン揃い |スキル:制作に必要な知識に加え、デザイン関係(AI,PSD操作)、英語対応といった周りにないスキルでしがみついている |チャレンジしたいこと:時間効率化で副収入を得ること。仕事で海外に行くこと。 |前職:ボランティアで2年間海外の学校で教師をしていた |悩み:子供が欲しいが仕事も楽しいので辞めるタイミングが分からない。よってフリーになっても仕事がもらえる関係値を作りたい

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