“イベント業界の日常 業界用語がおもしろい!” MERUが教える! イベント業界サンロクゴ(365)VOL.3
こんにちは!現役イベンターのMERUです。最近暖かくなってきて嬉しいところですが、同時に花粉も飛び回ってきましたね。くしゃみが止まりません。。。笑
今回はイベント業界用語に焦点を当ててご紹介しようと思います!業界用語は日々使われていますので、知っておくと打合せや現場の指示がスムーズにできます。会話例で解説しますので楽しんで読んでいただければと思います。
(今回の登場人物)
P:イベントプロデューサー
D:イベントディレクター
M(MERU|著者):イベントディレクター
1.【会話例】見積もりについて
P「Dさん、○○件の 中継、なるはや で見積り取れる?」
D「了解です。ちなみに バジェット っていくらでしたっけ?
それによって ケーブルアシ つけられるかどうかですよね。」
P「いやー、今回あんま バッファ ないからナシで。バックアップ はうちのディレクターにしてもらおう。」
M(これは日本語だろうか・・・?)
いきなりですが、太字の箇所、お分りいただけましたでしょうか。いや、普通は分りませんよね。ここからはわかりやすく箇条書きにしていきます。
・「中継」とは分かりやすく言うとカメラマンのことです。ライブで常に色々な場所からカメラを回しているポジションの人たちです。ライブカメラ2〜3台のカメラを回しながら、スクリーンに出す1カットを常にスウィッチングするのが中継。基本的には映像と一括りにされます。
・「なるはや」は予想がつくと思いますが「なるべく早く」の略です。正直、平成生まれの私からすると昭和臭い気がしますが、結構皆さん使っています。むしろなるべく早く!と伝えるより「なるはや」と伝えた方がトゲがないように感じるそうです。
・バジェット は「予算」のことです。まず、この業界の特徴として、やたらと和製英語を使いたがるという傾向があります。笑
・ケーブルアシ は「ケーブルアシスタント」の略です。カメラマンが大きく移動する時、ケーブル介錯をするカメラマンアシスタントが必要です。お金がないイベントでは、必要なシーンだけ制作側のディレクターがヘルプで介錯に行く時もあります。
・バッファ とは「余裕」のことです。見積もりや納期に余裕がない場合はバッファがないと言います。逆に納期に余裕を持ってほしい時は「納期にバッファみといて」と支持されることもよくあります。
・バックアップ はその名の通りデータのバックアップ・・・ではなく人のバックアップです。イベントは現場で何が起こるかわからないので、バジェットの中で予備の人員を常に考えているのです。
今回の会話例は、予算に余裕がないからカメラアシスタントは雇えない。代わりにディレクターが必要なシーンだけケーブル介錯に行く、という話です。
2.【会話例】企画書ミーティング
P「今度の企画書の キャスティング、Dさんいくつかピックしといて」
D「うーん、アゴアシ 込みで50くらいですかね」
P「そうだね。でもテーマはっきりしてるから、ちょっと超えても良いの押さえといて。俺もいくつか探しといたからデータ渡すわ。チャイチャイ ある?」
D「ハイどうぞ。ちなみに 決定優先 でいいっすよね!」
P「うん。裏どり よろしく。一応 NGリスト化 してね!」
M「・・・(大体わかってきたぞ!)」
ちょっと訳わからなくなってきましたよね。だんだんレベルを上げていきましょう!
・「キャスティング」 はイベントに出演させたいアーティストなどをブッキングすることです。制作会社は色々なキャスティング会社と協力して、そのイベントにマッチしたキャストを押さえます。ちなみにこのキャスティングだけに特化したフリーのイベンターもいます。
・「決定優先」とは、キャストをブッキングしたものの、まだ企画が通ったわけではないので、「企画が通った場合あなたのイベントを優先します」という意味です。企画書のブッキングは基本決定優先で話を進めます。
・「裏どり」とはwebなどの情報だけでなく、きちんとスケジュールや納期など、もっと深い詳細情報を抑えておくということです。人だけでなくモノ・コトにも使います。
・「NGリスト化」とは、スケジュールNGや他社競合などの理由で、キャスト側がNGを出した場合、「アタックしたけれどNGでした」「私たちこの企画のためにこんなにキャスティングを頑張りました!」というアピールリストのようなものです。(笑) 実際企画書ページネーションのどこかに必ず入れるリストでもあります。NGだからといって無駄にはならないのです!
・「アゴアシ」とは、アゴは食事代、アシは移動費のことです。宿泊はマクラという人もいます。これは業界に入らなければ分りませんね。
・最後に「チャイチャイ」。私も初めて現場で聞いた時「は?」ってなった謎の業界用語No.1です。由来がわからないのですが、なぜかUSBのことをこの業界では「チャイチャイ」と呼びます。皆さんもびっくりしないでくださいね!
3.【会話例】現場、ステージ上にて
※L:照明屋さん(Lighting)
D「よし、テクリハ 始まる前にちゃちゃっと バミッ ちゃおう!(Pが来る前に。。。)」
M「そうしましょう!(早くやらないとPに怒られちゃうもんね!)その前にあそこの サブロク ハケちゃいます。」
D「よろしく!ちなみにAさんとBさんは今朝立ち位置が テレコ になるって連絡きたよ。ゲネプロ の時と違うからね!」
M「了解!照明さーん、今からMCのところバミるんで、なるはやでピン合わせた後一旦MC台 笑っちゃって いいですかー?」
L「OK!今回 暗転、板付き までの距離、結構あるね〜」
M「そうなんですよ〜ステップもあるから結構危ない。トラ でバミります。」
D「転換 もあるからねー。見切れ 考慮して上手袖 ギリギリで機材スタンバッとこう!」
こちらはハイレベルの業界用語です。
・テクリハ とは「テクニカルリハーサル」の略です。現場リハーサルは基本2種類あり、照明・音響・映像など、出演者以外の技術リハーサル、そして出演者中心で行うランスルーリハーサルがあります。
・ゲネプロ(ゲネリハ)とは本番前に全通しで行うリハーサルのことです。本番の会場に入る数週間前に行うのが常です。
・バミり。これを避けてはこの業界で生きていけません。バミりとは「場を見る」が由来です。ステージに演者達が立った時、俯瞰で見た時の美しい立ち位置に印を付けていくことです。これは台本の各シーンによって変わるので全て計算した上でバミリプランを作るのです。現場ではステージ装飾が完成したらまずこのバミリから始めます。
・バミリに付随して、「トラバミリ」とは、危険ゾーンとかにある黄色と黒のシマシマテープ、あれのことです。あれを略して「トラでバミッといて!」と言ったりします。
・サブロク とはテーブルのことです。正確に言うと面が90cm×180cmのテーブルのこと。なぜかテーブルだけ尺計算(1尺=30cm)して、3尺×6尺テーブルをサブロクと呼びます。独特ですね。
・「ハケる」と「笑う」について。これ、どちらも同じ意味で、舞台上から片付ける、いなくなるという意味です。笑うがなぜ片付けるという意味になるのか・・・。
・テレコ とは「反対・逆になる」という意味です。こちらも頻繁に使います。例えばABCの並び順をCBAに並び替えたい時、「AとCをテレコにする」と言います。
さて、ここからは進行用語です。
・「暗転」とは全ての照明、映像を落とした真っ暗な状態です。
・「板付き」とはMCや演者などが自分の立ち位置に立つことです。よく「暗転中にMC板づく」といった言葉が台本にも書かれています。
・「転換」とは舞台上の機材などを丸っと片付けて違う機材をセッティングすることです。「転換スタンバイ」はよく使われます。
・「上手・下手」は皆様もご存知の通り、舞台に向き合って右手側が上手、左手側が下手です。ゲストは基本上手から登場、MCや主催側は下手から登場、という暗黙のルールがあります。
・「見切れ」についてです。上手下手の袖は、演者達がバタバタとカッコ悪く出入りするのを見せないため暗幕で隠しています。しかし演者のスタンバイが早すぎたり、袖から出過ぎたりすると端に座っている観客から見えてしまうことがあります。これを「見切れ」と言います。たまにDが見切れて、『おい!!見切れてんぞ!!』とインカムでブチ切れられたりしています。笑 そのくらいカッコ悪いことです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はイベント業界用語を会話で紹介させていただきました。他にもあるのですが、あとは実際に働きながら覚えるのが一番身につきます。怒られて初めて意識することもあります。
用語理解は本当に大切ですが、体でも覚えていきましょう!!頑張りすぎは要注意ですけどね!
<プロフィール>
|ペンネーム:MERU(メル) |年齢:27歳女性 |業種:イベントD(進行・運営)、企画書・台本・マニュアル制作、入稿データ制作、デザイン関係制作、英語対応可 |業界歴:3年 |活動エリア:東京 |家族:旦那と共働き |所属組織:10名未満のベテラン揃い |スキル:制作に必要な知識に加え、デザイン関係(AI,PSD操作)、英語対応といった周りにない+αスキルでしがみついている |チャレンジしたいこと:時間効率化で副収入を得ること。仕事で海外に行くこと。 |前職:ボランティアで2年間海外の学校で教師をしていた |悩み:子供が欲しいが仕事も楽しいので辞めるタイミングが分からない。よってフリーになっても仕事がもらえる関係値を作りたい
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